新装版 「漢字学」 
- 「説文解字」の世界- (東海大学出版会 阿辻 哲次著)
 説文解字とは、後漢時代(紀元100年のあたり)に許慎と言う人物が完成した文献である。この書は漢字学の原典中の原典である。古今東西、中国、日本のすべての漢字学の学者はこの本から出発しているといっても過言ではない。甲骨文字が19世紀の末に発見され、許慎の時代には知るべくもなかった「甲骨文字」の研究が進み、漢字学が飛躍的に発展を遂げた。
 本書はその説文解字を真正面に据え、説文解字の時代にはなかった甲骨文字から得られた知見を加え、われわれに新しい世界を示してくれた好著である。少し読みづらいかも知れないが、漢字にどっぷり浸かっている日本人には一生に一度は手にとっていいものではないだろうか。