街道をゆく 「中国・蜀と雲南のみち」、司馬遼太郎、朝日文芸文庫、1998年  今日でこの本の書評の最終回となる。
 この本に書かれてある内容はこいいので簡単な文章であらわされるのものではないが、「蜀と雲南のみち」の雲南の部分から、あえて二つに絞って書いてみたい。それは「少数民族」と「鄭和」である。
 ① 少数民族
現在中国に住む少数民族は55あるといわれている。

一般的には少数民族は集住地区を持っていることを前提としており、結果として全55の少数民族 中、44の少数民族は自治県以上の自治区域を持っている。この総面積はなんと全土の3/4=74%を占めている。
 人口でいえば約1億人が少数民族である。この全人口のわずか8%を占めるに過ぎない少数民族が中国国土の74%を占める自治区域を持っている。これは多いというべきか、少ないというべきか。 「中国百科」(日中友好協会編、2013)参照
 この少数民族とはどうして発生したのだろうか。先の「中国百科」の説明によると、
400年続いた漢朝が当時の中国の諸民族を「漢族」と呼ぶ契機となった が、・・・DNA的にも漢 族内部の分散は一部少数民族と漢族との間のそれより大きいが、同じく「漢語」を使う民族ということで一定の民族意識が長い歴史の中で形成された。


 この説が正しいとすると、少数民族は、以前からいた先住民族が、漢の時代に「漢王朝」の支配のもとにあったやはり先住民族の一部に圧迫され、長い間漢民族とは異なる少数民族として独自性を保ったことになる。
 いずれにせよこの雲南には多くの少数民族が漢民族に抵抗を続けつつも、迫害されたり、追いやられたりしながら、この人跡未踏というべきような僻地の山奥深く生活圏を後退させていったと考えられるだろう。 

彼らはチべット・ビルマ語群にはチベット語系のチベット族、メンバ族、ロツパ族(異説あり)、チャン語系のチャン族、プミ族、独立したトゥルン族およびヌー族、イ語系のイ族、リス族、ナシ族、ラフ族、アチャン族、ぺ一族、チノー族、ハニ族、トゥチャ族、テンポ一語系のチンポー族がある。彼らは古代羌族の末裔として西蔵高原東端から広がった。これ以外に、「漢・チベット語族」の一部を構成する「ミヤオ・ヤオ語群」に属する民族はミヤオ族、ヤオ族、コーラオ族とショオ族である。かれらも勇猛果敢な羌族の末裔として今日に至っている。

 ② 鄭和
 この明の時代の昆明の生んだ大航海時代の英雄については、「中国百科検定攻略 歴史編」のサイトを参照してください。